小川試験地ウェブサイト


お知らせ


2024年4月

小林卓也さん(森林総研)たちによる落葉と枯死木の分解についての論文が出版されました。

Kobayashi T, Oguro M, Taki H, Kurokawa H (2024) Decomposability of leaf and wood litter are not correlated across species: Effects of litter traits on decomposition in field and laboratory conditions. OIKOS e10045

 

小川試験地に出現する10樹種を対象に、野外長期データと野外実験、室内実験などを組み合わせ、落葉と材の分解速度は種間で一致しないことや、落葉や材特異的な菌による分解に関わる落葉と材の形質は異なることなどを明らかにしました。小川では材のリター量は落葉の半分以下ですが、その半減期は3倍以上長く、両者は森林のリター蓄積に同等の貢献をしていることが示唆されます。葉または材リターのどちらか一方のみに着目すると、群集レベルのリター動態における種組成変化の影響を十分に評価できない可能性を示した論文です。こちらでも研究内容を紹介しています。

2024年3月

設樂拓人さん(森林総研)たちによる小川試験地の維管束植物の種リストが出版されました。

設樂 拓人直江 将司柴田 銃江松井 哲哉新山 馨田中 浩中静 透 (2024) 小川試験地とその周辺における野生維管束植物目録. 森林総合研究所研究報告 23: 29-34

 

1987年から研究されている小川試験地ですが、これまで出現植物の種リストは発表されていませんでした。今回の論文では88219358種の維管束植物を報告しています。なお、鳥類と哺乳類の種リストについてはこちらをご覧ください。

2023年11月

新山馨さん(森林総研)たちによるササの論文が出版されました。

Kaoru Niiyama, Mitsue Shibata, Tomoyuki Saitoh, Shoji Naoe (in press) Competitive ability of dwarf bamboo (Sasa borealis) through long-term clonal growth in mixed dwarf bamboo communities in the understory of a temperate deciduous forest. Plant Species Biology. 

 

小川試験地に生息するササ3種(スズタケ、アズマザサ、ミヤコザサ)を対象に、32年間(!!)の詳細な分布変化が報告されています。草丈の高いスズタケの侵入に伴い、草丈の低いアズマザサとミヤコザサが排除されていく様子がはっきりと見て取れます。小川ではスズタケの一人勝ちかと思いきや、2017年以降、120年に一度と言われるスズタケの一斉開花・枯死が進行しています。今後ササの分布がどのように変化していくのか、これからも目が離せません。

2023年5月

5月8日から12日にかけて小川試験地で山開き調査を行いました。森林総研や大学の研究者に加え、さまざまな大学(東大、農工大、東農大、宇都宮大、京大、新潟大、中国東北林業大学)から12名の学生さんにご参加いただき、盛況でした。現地では胸高直径1cm以上を対象とした毎木調査や当年実生調査を行うとともに、試験地のグランドデザインや林床植生、ササ一斉開花地点の紹介を行いました。

久しぶりに出現したブナの当年実生
久しぶりに出現したブナの当年実生
毎木調査のレクチャー
毎木調査のレクチャー
ギャップで咲き誇るヤマツツジ
ギャップで咲き誇るヤマツツジ

2023年3月

小川試験地でつる植物の研究をされている森英樹さん(森林総研)が第11回 日本生態学会奨励賞(鈴木賞)を受賞されました! 受賞講演「木本性つる植物におけるクローン成長の生活史戦略